睡蓮の牧歌

古代エジプトが舞台の物語。メイベル・コリンズの手による象徴的なお話です。

3章

 船が滑るように川を下っていると、急に深い沈黙を破って歌が聞こえる。船をこぐ祭司たちが歌っているのだ。すべての船から聖歌を歌う声がする。そして薄暗い中でも大きな動きが見える。人々がひざまずいたのだ。だが人々は黙っている。彼らは祭司たちの歌う声が空中に響き渡る間、香の匂いを嗅ぎ、歌を聴いている。

 歌がやむと、何ものも破らぬ沈黙の時間が数分続く。人々は動かず、ひざまずいたまま黙っている。そして急に、地にひれ伏す。群衆のため息が、深い畏怖のため息が、聞こえる。祭司たちが突如、こう叫んだからだ。それは勝利の旋律の叫びで、はっきりと強く言われた。

 「女神は我々とともにおられる! 女神は我々の間におられる! 人々よ、平伏して拝むがよい!」

 この時、私とアグマハド祭司との間に立っているあの姿がこちらを向き、私に微笑みかける。

 女神が言う。「さあ、私が選んだしもべよ。そなたに奉仕してもらわねばなりません。あらかじめ言っておくので、そなたはためらわずにすむでしょう。怖がりなさるな。後で再び、今の二倍のなぐさめを得よう。さあ、手をお出し。私の額に口づけしなさい。怖がらず、動かず、叫んだりしてはなりません。たとえどんなに気分が悪くなろうと、どんなに震えが来ようとも、です。そなたの命は私のものになるでしょう。わたしがそなたから、それを引き抜くのです。でもまた戻しましょう。貴いことではないか? 恐れてはなりません」

 私はためらわずに、しかし考えられないような恐れを持って従う。私自身が女神の奴隷となるのはわかったが、女神の意志に抵抗はできない。冷たいその手が私の手をぎゅっと握り、すぐに柔らかい手ではなくなり、鋼鉄の鋲となって、冷酷にしっかりつかまれるように思われる。無力な感じに駆られ、私は思いきってそのギラギラ光る目を見る。そばへ引き寄せられる。自分を解放するために私は死を望んだが、誰かの手助けを望めない。唇を女神の額に当てる。ランプと船から気体がゆらゆら立ちのぼり、頭の中が異様な眠さでたまらなくなって、どんよりと重い。でも今、唇が女神の額に触れたが、冷たいか熱いかわからない。私は喜びに気がふれて、陽気に狂乱し、嬉しさにほとんど正気でなくなった。もう私が私ではなくなったのがわかった。私のものではない感情の海の波に揺さぶられ、支配されている。感情の波は私に押し寄せ、その急な襲来が私の人格を完全に洗い流してしまったようだ。そしてもう永遠にこのままのように思われる。しかし私はまだ意識を失っていない。私の意識は刻々と発展し、より強烈になり、より覚醒した。それから不思議な一瞬のうちに、人格我を失ったことを忘れた。頭の中で、ハートの中で、私を完全に統治している存在の本質の中で、私は生きているとわかった。激しい泣き叫びの声が、人々からわき起こる合図で即座に静まる。彼らは女神を見たのだ。私は足元に、若い祭司の死んだように見える姿が倒れているのを見ている。白い服を着て、それには金色の刺繍がしてある。一瞬、躊躇する。力強い喜びの中で思う。この人は死んだのだろうか?

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